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国立社会保障・人口問題研究所

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性的指向と性自認の人口学 - 日本における研究基盤の構築

 本プロジェクトでは、2019年1~2月、「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」を実施しました。
 ご協力くださった大阪市民の皆さまに、お礼を申し上げます。

 「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」報告書(単純集計結果)をまとめましたので、お知らせいたします。
 ★報告書(2019年11月8日公表)はこちらをクリックしてください。


○結果速報(2019年4月25日公表)はこちらをクリックしてください。
 結果速報のQ&Aもあわせてご覧ください(こちらをクリック)。

○For the preliminary results in English, click here.

・アンケートおよび研究についての説明は、https://osaka-chosa.jpをご覧ください。
(アンケート実施時の対象者用のページに、調査および研究の詳しい説明が記載されています。)


○第92回日本社会学会(2019年10月6日東京女子大学)において、大阪市民調査にかんする研究報告を行いました。
 「性的指向と性自認のあり方を社会調査でいかに捉えるか――大阪市民調査に向けた準備調査における項目の検討と本調査の結果――」
   釜野さおり(国立社会保障・人口問題研究所)・平森大規(ワシントン大学・院) ※資料はこちらからご覧になれます。
 「トランスジェンダーの割合をどう測るか――「大阪市民調査」と「オフィストイレのオールジェンダー利用に関する意識調査」から――」
   岩本健良(金沢大学) ※資料はこちらからご覧になれます。
 「日本における性的指向・性自認に基づく社会経済的地位の不平等――大阪市民調査の分析結果から――」
   平森大規(ワシントン大学・院) ※資料はこちらからご覧になれます。

○人口学研究会第618回例会(2019年10月19日中央大学後楽園キャンパス)において、大阪市民調査の結果紹介を行いました。
 「性的指向と性自認のあり方別の人口割合」(性的指向の分布の95%信頼区間)
 「性的指向・性自認別にみた心身の健康」
 「性的指向・性自認別にみた自殺未遂経験等」   ※配布資料(修正版)はこちらからご覧になれます。




※本プロジェクトについて

JSPS科研費JP16H03709「性的指向と性自認の人口学 - 日本における研究基盤の構築」(平成28~令和2年度)

(1)研究目的

性的指向におけるマイノリティとされている、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルと、性自認のあり方におけるマイノリティとされているトランスジェンダーが、「LGBT」と括られて取り上げられることが増えている今、 性的指向と性自認のあり方に関して、学術的な見地から信頼性のある情報を発信していくことが求められている。こうしたニーズに応えるために、本研究では従来の人口学領域と性的マイノリティの研究との融合を図りつつ、 人口学的視点から性的指向と性自認のあり方(以下、SOGI)の研究基盤を築くことを目指す。この目標に向けて、 (1)日本の人口学においてSOGIに注目する意義とその研究の方向性を探り、(2)SOGIを取り巻く社会的状況の 重要な要素である「家族」についての実証研究を進め、(3)日本の文脈でSOGI別の人口を社会調査で捉える方法論の検討を行い、(4) SOGIによる生活実態の統計比較分析を可能とする社会調査を検討する。


(2)研究計画

人口学領域に性的指向・性自認の軸を導入し、統計分析を行う研究基盤を作るため、以下の課題に取り組む:①諸外国における研究・議論の整理、②日本の公的データにおける同性カップルの特定の可能性の検討、 ③既存の調査に性的指向・性自認を含む設計の検討、④家族の現状と変容の量的・質的分析、⑤SOGIを属性のひとつとして捉える社会調査の企画。⑤を進めるにあたり、SOGIを捉える項目と調査手法の検討、 試験的調査の実施、調査プロトコルの作成を予定している。

平成30年度は、昨年度設計した、生活状況とSOGIとの関連性を調べるためのモデル調査票を用いて、大阪市において実査を行う。昨年度実施した、SOGIを捉える調査項目に関しての試験的調査の結果をまとめ、公表する。 また、引き続き先行研究のレビュー(SOGIに関する量的研究)と文献データベースの作成、日本の公的調査のサーベイ(性自認や同性カップル世帯を捉えることに関しての調査担当部署へのヒアリング)と集計 (国勢調査、国民生活基礎調査、社会保障・人口問題基本調査、その他の調査の二次利用による)を適宜進めていく。


(3)研究実施状況

平成29年度は、(1)社会調査で性的指向と性自認のあり方をとらえる方法について、SOGI項目を含む海外調査やマニュアルを精読し、フォーカス・グループ・ディスカッション、メールによるアンケート、 ヒアリング等を通じて、さまざまな項目案を検討した。また。調査実施主体や調査手法等の違いが回答するか否かに与える影響も検討した。(2) 東京都渋谷区において、パートナーシップ証明書の取得者等を対象に、 聞き取り調査を行い、同性カップルの関係性と制度のあり方に関して検討した。(3)日本家族社会学会において企画されているNFRJ18のレビュー班に参加し、性的指向を問う項目、同性カップルを特定する調査項目、 SOGIに関する意識をたずねる項目を提案した。(4)日本において性的指向別、性自認のあり方別の人口割合を推定し、経済状況や健康状態等、生活状況全般とSOGIとの関連性の分析を可能とするモデル調査票を設計し、 調査協力の依頼状やFAQ等の関連書類を作成した。(5)無作為抽出法で対象者を抽出し、モデル調査票を用いて行う調査を企画した。実施にかかる費用に関する情報収集ならびに協力自治体となる大阪市との交渉を進め、 来年度前半に実施する段取りを整えた。


(4)研究組織の構成

(平成30年度)

研究代表者:釜野さおり(人口動向研究部第2室長)

研究分担者:千年よしみ(国際関係部第1室長),小山泰代(人口構造研究部第3室長),布施香奈(情報調査分析部主任研究官),岩本健良(金沢大学人間科学系准教授), 藤井ひろみ(神戸市看護大学准教授), 山内昌和(早稲田大学教育・総合科学学術院),石田仁(明治学院大学社会学部付属研究所研究員)

連携研究者:石井太(人口動向研究部長),KHOR, Y.T. Diana(法政大学グローバル教養学部教授),谷口洋幸(金沢大学国際基幹教育院准教授),杉浦郁子(和光大学現代人間学部教授)

研究協力者:神谷悠介(関東学院大学非常勤講師),三部倫子(石川県立看護大学人間科学領域講師),吉仲崇(会社員),平森大規(ワシントン大学社会学部博士後期課程), KLAWITTER, Marieka(ワシントン大学公共政策学科教授),ROTHBLUM, Esther(サンディエゴ州立大学女性学プログラム教授)


(5)研究成果の公表

メンバーは上記(3)に述べた研究活動に貢献しつつ、各自でSOGI・家族に関する研究を進めた。以下はその一部である。

【著書(分担執筆含む)・論文】

石田仁,2017,「性別:法的性別の根拠は?」谷口洋幸・綾部六郎・池田弘乃編『セクシュアリティと法』法律文化社,pp. 8-22.

岩本健良,2017,「教員採用試験での適性検査MMPIの見直しの必要性」三成美保編『教育とLGBTIをつなぐ ~学校・大学の現場から考える~』青弓社,pp. 167-191.

岩本健良,2018,「性的指向と性自認」河野銀子・藤田由美子編『教育社会とジェンダー』学文社,pp. 38-49.

藤めぐみ・岩本健良・白井千晶・渡辺大輔,2017,「児童養護施設における性的マイノリティ(LGBT)児童の対応に関する調査」([特集]子どもに関わるすべてのおとなに必要な性の理解と取り組み) 『季刊セクシュアリティ』83: 82-93.

岩本健良,2017,「性同一性障害特例法:性別変更要件見直しの必要性と、トランスジェンダーのニーズ」『ヒューマンライツ』354: 28-30.

石田仁,2017,「人々はLGBTをどうとらえているのか:量的調査からみる意識」『青少年問題』668: 10-17.

釜野さおり,2017,「同性愛・両性愛についての意識と家族・ジェンダーについての意識の規定要因」『家族社会学研究』29(2): 200-215.

神谷悠介,2017,「現代社会における同性パートナーシップとセクシュアル・マイノリティ」『青少年問題』668: 34-41.

神谷悠介,2017,『ゲイカップルのワークライフバランス――男性同性愛者のパートナー関係・親密性・生活』新曜社.

CHITOSE, Yoshimi,2018,"Married Daughter's Support to Their Parents and Parents-in-Law in Japan," pp. 69-94 in Reiko Ogawa, Akiko Oishi, Kwok Hong Raymond Chan and Lih-Rong Wang (eds.), Gender, Care and Migration in East Asia. Series in Asian Labor and Welfare Policies, Palgrave.

藤井ひろみ,2018,「性自認および性的指向の困難解決に向けた支援マニュアルガイドライン」『小児保健研究,』77(2): 98 -101.

藤井ひろみ,2017,『よくわかるLGBT 』PHP出版.


【学会発表・講演等】

石田仁,2017,「同性婚法制化の賛否に関する多変量解析」日本女性学会2017年度大会,中京大学(名古屋市),6月18日.

石田仁,2017,「性的少数者と雇用上の配慮について」アノテーション株式会社研修 秋葉原CIVI研修センター(東京都千代田区),1月18日

岩本健良,2017,「国勢調査による同性カップル集計をめぐる動向-日米比較からみたマイノリティの統計的可視化の意義-」2017年度統計関連学会連合大会,南山大学(名古屋市)9月6日.

岩本健良,2018,「トランスジェンダーの職場環境とトイレ利用に関する意識と実態」GID(性同一性障害)学会第20回研究大会,御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンター(東京都千代田区)3月24日.

釜野さおり,2017,「ジェンダー意識と性的マイノリティに対する意識」日本女性学会2017年度大会,中京大学(名古屋市)6月18日.

釜野さおり,2017,「セクシュアル・マイノリティのおかれた状況:基礎知識と研究動向」松下政経塾9月合宿, 松下政経塾(神奈川県茅ヶ崎市)9月26日.

HIRAMORI, Daiki, 2017, “Social-Institutional Structures That Matter: An Exploratory Analysis of Sexual/Gender Minority Status and Income in Japan,” Population Association of America 2017 Annual Meeting, Hilton Hotel (Chicago, IL), April 27.

FUJII, Hiromi, 2017, “The experiences of transgender nurses in caring,” TNMC & WANS International Nursing Research Conference, Bangkok, October 20-22.

(「国立社会保障・人口問題研究所年報 平成30年版(2018年版)」より抜粋)